20 10月 2011
パネルディスカッションというものにあまり招待されることはなかったわけですが、昨日からお台場の科学未来館で開催されているDigital Content Expo 2011の特別プログラム「ソーシャルメディアと震災復興」にパネリストとして登壇いたします。
参加は無料で、メインステージでのイベントですのでお近くの方はぜひいらしてください。

トップページにデカデカと掲載頂きまして、どうもありがとうございます。秋元康さんの次に出てくるなんて、ビックリしました。
今週は金沢での講演に始まり、世銀初出社、Ust番組二本、最後にパネルと大忙しでした。
米国を発つ前にアマゾンやアップルからのリリースが相次いだこともあり、ブログのアクセスも急増中。ついに月間6万PVという昔からの目標を達成いたしました。(独自ドメインとしては、これでも達成するのなかなかだったんですよね) これからも意力ブログをどうぞよろしくお願いいたします。
意力ブログはソーシャルメディアで活躍する方々を応援します。
(注:意力は米国時間ですので投稿が一日ずれてます)
27 9月 2011
いよいよ明日Amazonの新製品が発表される。
下記は電子出版関連の情報ポータルの先駆者であるEBook2.0 Forumの鎌田氏のコメント
アマゾンは、米国東部時間9月28日水曜10時に記者発表を行うことをメディアに予告した。タッチスクリーンの100ドルKindleまたはタブレット、あるいは両方同時とみられている。B&Nも10月にNook Touchの新製品とColor2製品を発表すると言われており、いよいよ「タブレットの年」を飾るG1クラスの登場となりそうだ。
米国では一般的に製品発表を水曜日に行う。しかし、9月28日の発表は予想されておらず、最近では10月か11月と言われてきた。例によって今回も発表の中身については何も触れられていないが、CNet (9/23)によれば「以前Kindleの製品発表を告知してきたPR担当者から」案内があったそうで、KindleないしKindle+タブレットという可能性が強い。筆者の予想では後者。従来のKindleシリーズとタブレットの位置関係を明確にするには、そのほうがいいからだ。また、多くの調査会社はアマゾンが4Q11にタブレットの売上400万台を見込んでいると伝えており、その通りだとすると4Qの開始直前にタブレットを受注開始状態にしておく必要があるからだ。(EBooks2.0 Forum 鎌田氏)
これに先駆けて、アマゾンのIRでは新たに興味深い発表がなされている。映画配給会社大手の20世紀フォックスと11000点を超える映画やテレビ番組のライセンス契約を締結したというのだ。
Amazon Announces Digital Video License Agreement With Twentieth Century Fox
SEATTLE, Sep 26, 2011 (BUSINESS WIRE) –
Amazon.com today announced a licensing agreement with FOX that will allow Amazon Prime members to instantly stream a broad selection of popular movies and TV shows from the FOX library. This deal will bring the total number of Prime instant videos to more than 11,000 movies and TV shows later this fall.FOX titles available to Prime members will include contemporary movies such as, “Speed,” “Mrs. Doubtfire,” “Doctor Dolittle,” “Last of the Mohicans,” and “Office Space,” as well as classics like “The Longest Day,” “All About Eve,” “9 to 5,” and “Butch Cassidy and the Sundance Kid.” FOX also brings to Prime members a selection of popular TV series including “24,” “The X-Files,” “NYPD Blue,” “Arrested Development,” “Buffy the Vampire Slayer,” “Ally McBeal,” and newly available on digital video, “The Wonder Years.”
“We have received very positive feedback from Prime members about Prime instant videos. Customers love the instant access to thousands of movie and TV favorites,” said Steve Oliver, director of Video at Amazon.com. “Since the launch of Prime instant videos in February, we have more than doubled the library to 11,000 titles and will continue to add more of our customers’ favorite movies and TV shows to Prime instant videos.”
ここでの対象はAmazon Primeの会員向けということになっている。Prime Instant Video
有料動画配信ではNetflixやHULUの活躍が目覚しいが、アマゾンはここの牙城を突き崩そうとしているようだ。そして、もちろんここでもアップルのアップルTVとバッティングするのだが、今のところアップルTVは比較的地味な存在である(筆者は大好きなのだが)
<参考記事>
Amazon Prime vs. Netflix: Video Streaming Feature Showdown
このライセンス契約はタブレットによる動画視聴をも目論んでいるような気がするのだが、どうだろう。アマゾンの究極的な目標はどこからでもつながる「アマゾン端末」を作ることだと思っている。キンドルは確かに画期的な製品で電子出版を切り拓いたが、アマゾンはクラウドサービスという強い武器をもっており、総合的に囲い込みを実施している。手品ではないが、みんながキンドルに心を奪われているすきに、もう片方の手でまったく違う「トリック」の仕込みを行なっていたとしても不思議ではない。だが、正面からアップルに対抗するのはアマゾンらしくない気もするし。。。
新製品に対する鎌田氏のコメント
アマゾン・タブレットの直接のターゲットはNook Colorであり、9.28というタイミングがB&Nを意識したものであることは明らかだ。他方で、B&Nもそれを受けてリークした可能性が強い。アマゾンはさらに9-10型というカードもあり、これをホリデーシーズン直前に用意する可能性もある。いずれにせよ、iPad 2の独走状態に、はじめて対抗馬が登場することになる。
筆者もこの案には同調。来月発表されると噂のiPhone5に続いてiPad3ももうすぐ出ることだし、タブレット戦線は加熱している(大手に限ってのみだが)。アマゾンの画期的なコンセプトはタブレットにどう活かされるのだろうか。そして、ハードだけでなく、それを取り囲む周辺環境も決して無視できない、というかむしろそちらからアマゾンの戦略を分析するほうが重要である。
明日が何とも楽しみである。
(余談だが、明日は実は長女の誕生日。10歳という一つの区切りを経験するのは何とも感慨深い。いよいよ来月からは日本で一大プロジェクトに取り組むことになり、しばらく家族のもとを離れることになるので、それまでの間家族と過ごせる時間を大事にしたい)
24 9月 2011
フェイスブックの新プロフィールには自分史機能も搭載されるという発表があったばかりですが、早くもLAのセレブの中にもそのページをこっそり公開する者もでてきました。上記のものは震災復興チャリティアルバムの「Jazz for Japan」を取り仕切ったAvatar Records代表のラリー・ロビンソンのページ。FBで彼が友人たちにチラリと公開したものだ。
Developer用のAppを使って自分でもやってみることができるらしい。詳しくはコチラで。
なかなかクールである。しかし、数年前に高橋誠さんと一緒に自分史SNSヒスティを立ち上げた立場からすると、何か複雑な気分。FBから買収される日は来るのだろうか、いや、多分こないですね(苦笑)
ちなみに下記はHisty上の筆者の年表。似てる!? タイムラインがこれまでのサービスでは横のものが多かったのだが、FBのもヒスティと同じ縦型なのに注目。
24 9月 2011
また新しいサービスが出ているのを見つけた。
Shoutflow.com
上位二位は同じ名前のJunさんだった。そういえばそういう名前の知り合いが多いような、まぁ一般的な名前なのかも知れませんが。
アイデアはそれほど目新しくないですが、表示形式はキレイですね。内容はそれほど深くマイニングしてる感じはしませんが、確かに最近交流が多い人たちではあるかも。
彼らのTwitterIDは@shoutflow まだまだフォロワー少ないみたいですが、頑張って頂きたい。
意力はソーシャルでガンガン攻める若い企業と起業家たちを応援します。
22 8月 2011
今日は今回の日本出張最後のイベントであるアカデミーヒルズでの講演がある日だった。
Dカウントも60を過ぎて、もう2ヶ月も日本にいることをしみじみと実感。
アカデミーヒルズは去年参加したMIT-EFJのビジネスプランコンテスト以来。
ライブラリーメンバーはリテラシーが高い方や向学心の旺盛な方が多いとのことで、少し硬めの話も追加した。CODEの著者レッシグの提唱したサイバースペース上の4つの制約条件を、私なりにソーシャルメディアの世界に転用して考えているというお話。
レッシグは市場、テクノロジー(コード)、規範、法律の4つの制約条件があると説明したが、ソーシャルメディアは基本的に「フリーでオープン」なものなので、市場の制約条件つまり価格は当てはまらない。
その代わりに私が重要視しているのは、リアルの世界での法律とは異なる「ルール」の存在である。
これは、例えばYouTubeに溢れる動画や、ブログに掲載されている画像を見ても分かるように、(既存の、あるいは旧時代の制約であるところの)法律には厳密にいうと抵触するが、慣習的に看過されている部分である。もちろんこれらはグレーゾーンであり、フェアユースの認められにくい日本では場合によると完全に黒なのだが、実際にそれらに対して監視が行き届かなかったり罰則が適用されにくい、しかし度を過ぎるとやはりルール違反となる。(ちなみに私はこないだの某民放局に対する電凸騒動は完全にルール違反であると思っている。あれの多くはただのいたずら電話だ)
ソーシャルメディアを利用する際には、これらのいわゆる「暗黙のルール」を理解して振る舞うことが重要である。そして、もちろん情報の受発信者同士であるユーザー間でも最低限の礼儀を尽くす必要がある。
ではこれらの「ルール」と「マナー」が守られることとどうなるか? 一言でいうとそれは議論の成熟を意味し、メディアそのものの存在意義が認知されるということになる。そうして初めて、その外側にある法律や社会に影響力をもたらすことができるのである。スポーツや格闘技は、ルールが厳しければ厳しいほど面白い。そうしてこそ、戦う者もジャッジもスキルを上げていくことができるのである。
(私見だが、格闘技の中でも最も完成された形態の一つはボクシングだと思っている。しかし、ボクシングはあまりにも制約が多いため、トップランカーといえど、異種格闘技戦だとボロボロになる。相撲も同様。しかし、それはそれで構わない)
既存のソーシャルメディアでいうと、2chの掲示板は残念ながらこの「ルール」と「マナー」が守られない場であり、よって社会的な認知は極めて低い。反対にウィキペディアはかなり厳格なルールと確固たる管理コミュニティが存在することで、ソーシャルメディアの中ではかなり熟成された議論が存在する場である。(もちろん幼稚な議論や悪戯も多いが、それはフリーである限りつきまとう問題である)今、この点で端境にあるのがツイッターだと私は思っている。日本語は英語に比べて140文字で伝達できる情報量が多いため、日本のツイッターでは余計な喧嘩も多いと感じる。これは、一般的な機能としての「情報」と「センチメント」の伝達に加えて、日本語では「コンテクスト」が伝達できてしまうからではないかと思っている。当然、それによって伝えられる内容も深まるし、逆に読み違いによるトラブルも起こってしまう。
講演時間は1時間、質疑応答に30分でその後は歓談と名刺交換の時間。講演後のアンケートで「もっと話が聞きたかった」という声が多かったのは嬉しい限りだ。
講演のテーマになった近著「検証 東日本大震災 そのときソーシャルメディアは何を伝えたか?」はソーシャルメディア革命に比べると立ち上がりが遅かったようだが、今回このようなイベントをたくさんもてて、あちこちでプロモーションできたので少しは挽回できたかも知れないなぁ。
講演後はディスカヴァー21のスタッフの皆さんと打ち上げ。今日の私にとっての最大のヒットは実はディスカヴァーの社長室のOさんが私と同じ高校の同じ国際科の後輩だったということを発見したことだった。世の中狭いなぁ。(参加した皆さんがやたら高学歴だったのもびっくり。私は日本の受験では見事な落伍者だから、少し気が引けたのはここだけの話 笑)
4 8月 2011
今日はケーブルテレビの番組、「つながるセブン」のつながる解放区というコーナーに生出演してきました。
時間にして10分弱ほどでしたが、大変楽しい体験でした。
生放送は7時からだったが、リハーサルのために5時に控え室入り。

意力ブログのインターンの渡辺君と一緒に台本見ながらリハーサル

台本にはいくつか簡潔に答えるのが難しい質問があったので、それなりに準備していたのですが本番では小倉流トークでいい意味で期待を裏切られました。
話すのはゆっくりになるように心がけたのですが、視線などが気になりましたね。初体験では学ぶことは多いです。
放送後、丸の内で食事会をして、ネットとテレビの未来についてどっぷり語り合いました。最近お会いしたテレビ関係者の方々はみなソーシャルメディアの可能性を強く感じておられるのをみて、刺激を受けることが多いですね。紙と電子というまったく別のフォーマットへのユーザーエクスペリエンスの移行をしなければならない電子出版では、まずはデジタルリーディングという習慣をユーザーが身につけなければいけませんが、テレビからUst あるいは YouTube などのストリーミング番組に移行する際にはコンテンツは両方共デジタルであるという点で大きな習慣の変化は必要とされません。あとはコンテンツの質が一般人に馴染みのあるものであれば、一気に心理的抵抗感も払拭されるということで、テレビで馴染みのある人物が番組を始めるというのはかなり有効なアプローチだと思います。
あとはテレビ上の「チャンネル」体験をネット上の「クリック」体験に移行することが大事なわけですが、この点はアップルがアップルTVを、グーグルがグーグルTVを通じてやろうとしていることであり、日本ではまだ浸透していません。昨今爆発的に普及してきているスマートフォン上のアイコンとしてこの「チャンネル」体験を持ち込めるかどうかが、一つのターニングポイントになると思いますし、キンドルのミリオンセラー作品のようなマグネット的なコンテンツの登場が分水嶺になるんでしょうね。ライブで5桁、アーカイブで6桁の数字が取れるようなお化け番組がでてくれば一気に流れは変るのだろうか。。。 などとテレビの未来に思いを巡らせた一日でした。
3 8月 2011
いよいよ今晩です。今朝は部屋を出るときすごい大雨でびっくりして思わずツイートしたが、どうやら局地的なものだったらしい。
さすがにあの大雨では客足が心配である。
ジョン・キム×立入勝義スペシャルトーク 「ソーシャルメディアの今とこれから」
まだ空席あるようですので、お申し込みされていない方はぜひ!
4 7月 2011
羽田空港の新整備場で行われた全日空のメディアイベントを取材してきました。
全日空は世界に先駆けて、省エネ型787機を導入。納期は3年も遅れたが、満足のいく仕上がりとなったようです。
今回の会見では、ソーシャルメディアに対する配慮もなされていたようだ。さすがに世界で最初の顧客だけある。
Ustで日英二か国語中継がされていたようです。アジャイルメディアの徳力さんの姿も。
飛行機についての詳細はコチラやコチラに詳しい。(私は飛行機マニアじゃないので、詳しい方に譲らせて頂きます)
787の大きさは長さ約56メートル、主翼の幅が60メートル。同級の767-300ERよりも長さが2メートル、翼幅で13メートルとやや大きく、長距離用の777-200ERよりは長さが6メートル小さく、翼幅はほぼ同じ。
787は03年から「効率性を重視した機体」として「7E7」(EはEfficiency=効率の意味)という名称で開発がスタート。04年、全日空が50機大量発注したことから、開発が正式に決定された、また、全日空が開発段階から航空会社としての意見を出し、ボ社にも社員を派遣するなど計画に積極的に参画した。(毎日JP)
この飛行機、パーツの35%程が日本メーカー、つまり日本の技術によって作られているということで、製造自体はアメリカでも、いわば「加工貿易」的な作りになっているというわけだ。とかく国際競争力の低下を指摘されがちな、日本人のものづくり魂を世界に見せつけて欲しい、というのが個人的な感想です。
ウォシュレットがついているというのもすごい(笑)

NYから日本に戻ってこられた佐野亜友子さんがフォトグラファーとして参加。コックピットの写真を撮っていただきました。
今回は元CAのAyuko Sano (@SerendipityofA)さん、ソーシャルリーダーズの高川さん、MIT-EFJ理事の吉田宣也さんらと一緒に参加。ソーシャルメディアに対する寛大な理解と支援を示してくださった全日空さんに感謝します。早く乗ってみたい!
PS: カメラクルーが撮ったもっと綺麗な写真も後ほどアップ予定です。
25 6月 2011
TwitterのBluemoonさんにお招き頂きWeekly CMSというUst 番組に招待されて、ゲストスピーカーとして話してきました。
テーマはソーシャルメディアとセキュリティ問題、などなど。参加が結構急に決まったので、東京到着後いそいでプレゼンを仕上げて会場に赴きました。
会場にはCMSの専門家の方がたくさん集まり、技術よりの多様なディスカッションが展開された。プレゼンも多く、大変面白いイベントだった。
関連の事業をされている方は是非とも一度参加されたらいいと思う。
会場は品川にある日本マイクロソフト本社の33F
他の方のプレゼンの様子 技術的なプレゼンが多いので超文系の方には少しきついかも。。。
正午過ぎからは筆者の出番が少し。プレゼン時間は15分強、質疑応答を入れると25分弱くらいか。

主催者の酒井さんのプロフィール プレゼンはXOOPSについて
その後はCMSのランニングトーク、そしてその後は懇親会に筆者の出版記念パーティまで催して頂いた。ITリテラシーの高い方が多い会合なので、ディスカッションも楽しませて頂いた。環境ソーシャルメディアにデータロギングを絡ませるという発想、セキュリティ問題、日本のネットの未来、そして、筆者の考えるネット選挙の構想にいたるまで、話は延々と続いていった。。。技術系の本を出版された著者の方が多いのも印象的だった。日々急速に進むITの世界で日本の屋台骨を支えてくださってる皆さんであり、こういう方々がいなければ日本のネット社会の発展もないと感じた。
21 6月 2011
郷里の大先輩でもある東野圭吾先生の作品を読破する 「東野圭吾イッキ読み」シリーズ
今回は「毒笑生活」である。
本作は誘拐天国、エンジェル、ホームアローンじいさん、本格推理関連グッズ鑑定ショー、など12冊の短編を収録した短篇集です。最後に京極夏彦氏との対談も含まれている。タイトルは「守れ、笑いの牙城。めざせ、「お笑い」ルネッサンス!」というもの。自身の主流作品(東野圭吾氏は推理・サスペンス、京極夏彦氏は妖怪シリーズなど)とは別のところで本格的な「笑い」の世界を追求する二人の作家の姿勢が垣間見える。(以下敬称略)
一番長いのは誘拐天国で、これは対談で東野圭吾が語っているように、作者としてはかなり熱が入った作品のようだ。一家の財産と事業規模故に「帝王教育」を受けている5歳の孫と遊ぶ時間がなくて嘆くお祖父さんが、その時間をつくるためにわざわざ仲間と共謀して誘拐してしまうという話。この話を読んでいる時から筒井康隆の影響をうけていると感じた、たとえばこの誘拐天国はどことなく私が大好きな筒井作品である富豪刑事に似ている。この思いは読み進めている間も変わらず残っており、最後の対談で筒井康隆の名前が出てくるのをみて、なるほどと思った。お二人はどうやら本格的な「「お笑い小説」の境地も目指されているらしい。(この点、現在英語に関するコメディ小説を書いている私にも大きな参考になり、励みとなった)
東野圭吾が対談で述べているように、コメディを追求するとどうしても世俗的な話題を取り上げざるを得なくなり、社会的なテーマを扱わざるを得なくなるという。
これは環境問題(捕鯨、イルカ、天然資源など)をテーマにした「エンジェル」や警察の紋切り型の対応を揶揄した「マニュアル警察」、過保護な息子の教育を描いた「花婿人形」、自殺マニュアルをヒントにしたと思われる「殺意取扱い説明書」、オレオレ詐欺や振り込め詐欺を思わせる「誘拐電話推理網」などがある。また、人気のテレビ番組をモチーフにした「本格推理関連グッズ鑑定ショー」は意外性のあるオチが秀逸である。
また、本作には他の東野作品とクロスオーバーする作品が多い。「つぐない」などは読めばすぐに、東野作品の一つの主題である(特に脳に関連した)「アイデンティティ」を話題にしていることが分かり、大人気作品の「宿命」、「変身」や「パラレルワールド・ラブストーリー」を彷彿させる。(対談ではこの作品と名作「秘密」の知られざる誕生秘話が掲載されているので、東野ファンは要チェックである)
(普段なら立ち寄らない)古書店で恋人を奪われた相手である親友に対して復讐をしようとする「殺意取扱説明書」はとてもユニークな設定だ。最後のほうのシーンはあの名作「どちらかが彼女を殺した」の事件現場を思わせるし、「本格推理関連グッズ鑑定ショー」ではまったく別の東野作品のとある推理プロットの真相が解き明かされている。
コメディという観点で私が気に入ったのは下記の作品
誘拐天国
ホームアローンじいさん
本格推理関連グッズ鑑定ショー
栄光の証言
一方、残念ながら今ひとつ私の中でオチなかったのが
殺意取扱説明書と誘拐電話網 だった。
個人的なオススメはエンジェルで、これは確か星新一の作品で似た様なテーマのがあったのを覚えている。あちらは怪獣だか恐竜がモチーフだったような。
少し表現がえぐいが、環境問題に潜む人類のエゴを考えさせられるという点で、アパルトヘイトをモチーフにした「第九地区」という映画を思い出した。
シュールなオチだと思ったのは
マニュアル警察とつぐない
もちろん本格サスペンスもいいんですが、東野作品はパロディも面白いので推理ものしか読んだことの無い方にはぜひともオススメしたい作品。
ただし最後の対談を読むとこの先にでている「怪笑小説」も読みたくなってしまうので、そちらを先に読まれたほうがいいかも知れません。
筆者の書棚はコチラ。東野作品、あとちょっとで半分読み終わるくらいでしょうか。。。まだまだ先は長い!