7 7月 2010
とあるビジネスプランの検討会ではボロボロに酷評されたビジネスプランが、何故かMITエンタープライズフォーラムのビジネスコンテストではファイナリストにまでなってしまったというのは何とも皮肉なことだが、ビジネスプランは見せる相手によって評価が異なるのは当然の話だ。投資家向けのプランを投資をするつもりのない人に見せて意見を聞いても実質意味がない。投資というのは奇妙なもので、結局プランどうのこうのも大事だが相手は人を見ている。よく「ドライバー」という言葉が当てられるが、ベンチャービジネスを牽引していくにはとんでもない労力が必要なわけで、とどのつまりは「諦めない」人間であることが最低限の資質である。そして、あとは「必要なモノ(物質以外も含む)を何とかして手に入れる」力、つまりこのブログのタイトルでもある意力が必要なわけだ。逆にビジネスプランの数字については、見た目をきれいにまとめあげるのは簡単な話で、どれだけ実際に近いものを予測できるかが重要である。しかし、実際に近い数字を予測するのが大事なのか、目標として立てた数値に近づける努力をすることが大事なのかと聞かれれば、どちらも重要だが、後者がなければ前者の数字に何の意味もなく、最初は「最低限」と思ってたてた予測の数値をはるかに下回ることだってある。自身のビジネスを含めて、こんな例は枚挙にいとまがない。
というわけでこのビジネスコンテストは願ってもないチャンスであるから、しっかりとプランを煮詰めているところだ。
その過程で、現在意力メディア(おそらくこの名前が新しい会社の名前になりそうだ)が行っている事業を簡単な図にまとめてみた。(図をクリックで拡大)
ブロガーと一口にいっても、これからはただ書くだけのブロガー(アマチュア)と職業ブロガー(プロ)にもっときれいに別れていくだろう。後者はブログを書くことに決まった目的をもっているが、前者は書くことが第一義なので特別そこから先の目的をもたない。ソーシャルメディアというからには、継続した情報発信が必要なわけでこれを何の見返りも求めずに行うことは難しく、趣味の領域で続けることができる人間は限られている。アメリカでは職業ブロガーが数多く存在しているというニュースもあるが、日本ではまだまだ数が限られている。大手のメディア企業で働くものとは異なりそこには制約条件も多いので、(ただの自己擁護に取られるかも知れないが)市場やブロガーが成熟するまでの間は温かく見守る視線が必要とされていると感じる。
(参考リンク:プロのブロガーになりたいなら月にエントリー300本書け!)
6 7月 2010
Tech Crunchからの記事
Twitter上の情報を新聞のようなレイアウトで表示してくれるPaper.li、大物グループからの出資を決め今後の発展を目指して邁進中
スイスに拠点を置くSmallRiversという新興スタートアップのサービスを使うと、Twitterのストリーム、ハッシュタグ、およびリストを新聞のように表示させることができる。このSmallRiversが2008年に行った$1M(100万ドル)のシード資金調達以来の資金調達を行うこととなった。
今回出資を行うのはドイツの投資メディアグループであるEcona、Kima Ventures、フランスのアントレプレナーによるアーリーステージ投資ファームのXavier Niel、およびJeremie Berrebiと、名前の明らかでない「著名ウェブ2.0ビジネスエンジェル」たちだとのこと。
Paper.liのサービスは昨年4月にアルファ版として提供開始されている。Twitterに投稿されたリンクなどを組み合わせて新聞のホームページ版のように兵地する。このバーチャル新聞のテーマとして指定できるのはTwitterのユーザ(例えばTechCrunch Japan)、リスト(例えばRobert Scobleのテック界の重要人物リスト)、ハッシュタグ(例えば#oilspill)などだ。
アメリカではTumblrやPosterousのような簡易ブログサービスが流行の兆しを見せているが、Twitterのアクセスをうまく取り込むという意味では面白いビジネスモデルだと思う。(みんな似たようなこと考えたんだろうけども)筆者はTwitterは目新しさが先行しているだけで、それほど長くは今のような流行は続かないと考えている。ソーシャルメディアを取り巻く今の流れにうまく乗って、会社や個人のブランディングにうまくつなげるようにしないと、結局後に残るものが少ないのではないだろうか。しかし、このようなサービスが増えてくるともう少しTwitterの息も長くなるかも知れない。似たようなサービスは他にもいくつかでてくるだろうし、NingでもAppで対応することが可能になるかも知れない。(Ning Appはもっと数が増えたほうがいいんだけども)
6 7月 2010
これまでは、門外漢の立場から電子出版と既存の出版業界の関わりについての意見を述べてきたのだが、勿論出版業界にも素晴らしい功績があるわけで、それらを一気に否定する必要もないし、出版業界の中にいる素晴らしい人材と彼らの経験がなければこれから電子出版市場自体が成立しなくなる危惧もあるはず。先日「誰が電子出版を殺すのか?」というエントリーを書いたらあちこちで反響があったようだが、これは何も出版業界そのものに引導を渡している訳ではないし、私にそんな権利があるとは到底思えない。中抜きでなくなるべきは構造的に不要となった「ミドルマン」であって、「中身」ではない。
というわけで、今回は少し外からみた観点での出版業界の良い点を書いてみたいと思う。
まず、第一に出版業界には「活字」や「知識・教養」といったものについての能力やこだわりが尋常ではない人たちが溢れている。今ではもちろんコンピュータでも校正作業ができるわけで、昔に比べればその需要は減ってきた(でも逆に最近はコストカットのせいか、紙出版物でも以前見なかった誤字や脱字を多くみかけるような気がする)のかも知れないが、実際に書き物をしている立場からすると彼らの意見や知識は確実に参考になる。校閲作業なんかは事実の検証などをきっちり行っていくわけで、所詮ネットでの調べ物くらいしか頼ることのできない(私のような)にわかブロガーでは到底太刀打ちできないような知識のインベントリーをもっているし、漢字や修辞にも詳しい。彼らにとっては当たり前なんだろうが、これは素晴らしいことだ。(最近では日本にいる編集チームと会って、本筋の話の合間に歴史や文学の話をするのが楽しみなくらいだ)大体メールのやりとりがスムーズなのが助かる(笑)
若者を中心に起こっていると言われている、いわゆる「活字離れ」は要は国語(あるいは元々日本語がもつ美しさの部分)に対するこだわりの部分が希薄化しているということが一つだと思うが、出版業界はそれを頑なに守っている人たちだ)国語人間の私としてはただ賞賛するばかりである。
次に、彼らはそもそも出版をビジネスと割りきっていない節がある。かと言って、よく使われるような「慈善事業」をやっている認識でもない。傍から見ると彼らは「文化事業」の旗手であり、文学はどこまでいっても商売のタネというよりは「芸術」なのだろう。この観点があるから作家は救われる。数カ月、時には数年もかかって書き上げるような作品は費用対効果を考えてできるものではない。私のレベルですら、例えば「このブログを書くのに20分以内だと黒字だが、30分以上かけると赤字になるだけだ」などの損益分岐を考えていたらとてもじゃないが(特に創作系の)執筆なんてできない。(もちろん通常の作家にあるような締切りというのはニュース性を重んじるソーシャルメディアでは重要な訳だからそういうプレッシャーはある)文壇バーとかいう言葉があるが、(作家のような)芸術家はつねにパトロンに支えてもらって成り立ってきた。これはファインアートの世界を見ても明らかな通りだ。電子出版と声高に叫んでも、このような存在がいない限り、ほとんどの作家は作品を作り続けることができない。というか、むしろ新人なんて生まれることさえなくなってしまう可能性もある。ダイヤの原石を磨き上げる仕事をしてきたのは編集者であり、時折でてくるミラクルヒットで過去の打率を一気に帳消しできる可能性を知っているし、そういう存在が輝くきっかけをつくることに生きがいを感じている方々も多いだろう。この点で出版社の編集チームはある意味ベンチャー起業でいうところのVCみたいなものといってもいいのかも知れない。(費用対効果を考えずにただ可能性を信じて投入してくれるのだから、支援を受ける方としては有り難い)また彼らはとにかく「気が長い」ように見える。膨大な数の作品に目を通して、あぁでもないこうでもないと試行錯誤を繰り返してきたのだから当然なのかも知れないが、どちらかというせっかちな私は感嘆を禁じ得ない。 続きはコチラ
3 7月 2010
その後大手出版社21社(後に10社が参加され31社に)が連合を組み電子書籍協会なるものを打ち立てた時には筆者もその機能性については懐疑的ながらも、一分の期待をもってしばらく動きを見守っているが、少なくとも今のところはあいにく予想通りまったく正しく機能していないようだ。電子出版の波が日本に来たのは実は最初ではない(後述)のだが、今回の波を発生させている主たる企業はAmazonとAppleという米国の超巨大IT企業であり、それに対抗する策を練るのに、そもそもITリテラシーが低く、かつ利益が相反する出版社とう同業企業群が集まりあってどんな大それた動きを起こせるというのか。パワーバランスがそのまま持ち越される上に、結局はみな市場には数えるほどしかいない同じ既存の有名作家を囲い込もうとするわけだからまともに機能するはずがない。呉越同舟という訳にはなかなかいかないようで、海外から話を追いかけている限りにはまともな論議には発展せず、挙句の果てには「日本独自のフォーマットを」とか「紙と電子の共存」などとまで言い出す始末である。全く危機意識と正しい現状認識の感覚があるとは思えず、AmazonやAppleといったグローバルスケールの先進企業が打ち出す用意周到なマーケティング戦略にまったく立ち向かえそうもないのである。(そもそもこれまでまったく立ち向かえていなかったのだから無理もないが)相手はかなりの兵である。Amazonは世界一のオンラインストアだし、全米一の本屋だ。一方のAppleは今や伝説の起業家といえるカリスマ経営者スティーブ・ジョブズ率いるクリエイティヴ集団だ。この二社はまた強烈な信奉者、つまりファンを抱えている。この二社のビジネス戦略は正反対といっていいくらい、違う性質のものだがこれまでこつこつと積み重ねてきた努力がファンの信頼を勝ち取ったことは間違いない。またこの二社以外にも、まだ頭角は現していないが、マイクロソフトとグーグルというこれまだ世界ブランドの大企業が後に控えている。日本危うし、である。
先に断っておくと、筆者はジャーナリストというには恥ずかしすぎるくらい駆け出しの一ブロガーであり、これが最初の著作だから作家という訳でもない。ここのところブームを反映してか、他にも電子出版関連の書籍が市場に何冊か出されているが、それらの多くは市場の分析や執筆に長けた権威の方が書いた本であり、この本にそれを求めることが正しいかどうかは私には分からない。そして、また筆者がこのビジネスで大成功を収めた起業家かというとそうでもないし、そう見栄を張るつもりも毛頭ない。(何よりこれからの市場なのだから)しかしこの本は昨年の春から規模は小さいながらも、米国で地道に電子出版事業に取り組み続けてきた筆者の実体験と主な活動舞台を日本ではなく海外に置きながら、製造業(ハード)と翻訳とIT(サービス)という一風変わったバックグラウンドをもつ筆者独自の感性と市場分析に基づいて書かれている。結果としてはかなり辛口の本になってしまったかもしれないが、すでに日本を凌駕しつつある電子出版という「黒船」の実態を今更見て見ぬ振りをするよりは、早い段階で目を覚ましてもらったほうがいいだろうという断腸の思いで、敢えて苦言を書かせてもらった。特に今回の黒船は単にアメリカ国内で勢力をもった存在ではなく、Apple、Amazon、Google、Microsoft、Adobeといったハードとソフトの境を超えて世界を舞台に大活躍している超優良大企業の集団であるということをどう認識するかが重要である。 続きはコチラ
2 7月 2010
挑発的なエントリータイトルになってしまったが、こういう内容を最近よく考えるようになった。なので久しぶりにまともに電子出版について語りたいと思う。
というのも、まだまだ本質的な部分での電子出版に関するディスカッションがなされていないし、成功するようなビジネスモデルも打ち立てられていないからだ。
このままいくと、しばらくしたら「やはり電子出版は儲からない」というなんだかとっても的を射たように聞こえてしまうフレーズがあちこちで聞かれるようになるだろう。(今よりもっと、という意味で)そしたら笑う人々がそこにはいるわけで。
これを理解するのにカギになるポイントが二つあると思う。
一つはそもそもこれまでの出版業界についての反省がなされていないこと。ビジネスモデルの検証すらできていないのではないだろうか。あてずっぽうのように「勘」と「経験」に頼った作品づくりを続け、一作品あたりの費用対効果など考えず、ただ上が決定したものをひたすらつくりあげるだけで給料をもらっていた雇われ編集者やその他従業員。完全なる大手依存がそこにあったようにしか思えない。そんな人達が大挙して電子出版業界にやってきても、はっきりいって構図は何も変わらない。電子出版は本質的に「中抜き」構造の上に成り立つものであり、「抜かれる」のはそういう人たちだ。だから電子出版での「中抜き」といってすぐに取次ぎや出版社を連想するのは間違いだと思う。「中抜き」されるのはラベルではなく、そういう「存在」そのものなわけで。逆に取次にいたとしても、日本の出版業界の未来、ひいては日本の未来について真摯に臨む人はそのまま自分の場所をみつけるだろう。そうでなくてはいけない。
もう一つはマーケティングができていないことだ。(もっともこれ自体が出版業界が抱えていた大きな問題だったように思うのだが)書店で本を買うというのは万人が取れる行動だ、つまりそれだけ生活習慣として時間をかけて浸透してきたということだ。本を買うのを子供に教えるのは多くの場合、お金を出す親だろう。学校の先生かも知れない。しかし電子出版ではここの構図がまったく当てはまらない。ちょうど新ポータル兼電子コンテンツ販売サイトをもうすぐ立ち上げるということで、自身のスタンスをどんどん明確にしていくべきタイミングにあると思っていて、この辺をいくつかのエントリーでもう少し整理していきたいと考えている。
電子出版のマーケティングは既存書籍とまったく異なると言っていい。これは何故か?一重に、「顧客層が極度に限定されているから」だ。もちろんこれはこれからドンドン変わっていくだろう。そこで一つ出版業界の方々に聞きたい。
「みなさんは、どの本をどういう人が買っていったかということについて、どれくらい正確に把握されてるんですか?そしてその精度とは?根拠は?」
私は出版業界にいたことが全くないので、完全に誤解しているのかも知れないが、これを正確にしる方法がそもそも存在してたのか?(テレビの視聴率もそうだけど、あちらは端末そのものが行動履歴型の判断をできる対象となるという点で大きく異なる)もちろん、私は出版業界にいたわけではないが、小さい頃から本の虫だったので、これまでに莫大なお金を書籍に費やしている。で、誰かが私がその本を買ったという事実を知る術があったのか、というと買っている側からすると「無い」と言わざるを得ない。だって誰にも情報を伝えてないんだから。(あの忙しい会計現場でPOSで全部集計してるとは到底思えない)
つまり、電子出版について非難がでてくるとすれば、それは本当に電子出版に限ったことなのか、それとも「出版業界」そのものについてのディスカッションなのかを突き止める必要がある。特に既存の出版業界から電子出版に対して批判が出るとしたら、それこそヤブヘビだ。電子の怖いところはその全てがデータとして現れ記録に残ることである。つまり「中抜き」される対象がどんどん明確になっていく。電子出版の誕生を疎み、殺しにかかる存在がいるとしたらそういう部分でこれまで「闇」に隠れて特をしていた存在だと思う。それは誰なのか?
マーケティング分析をする際にはまずは対象を定めなければならない。電子出版で本を買っている「限定された顧客」とは誰なのか、どういう風に変わっていくのか。簡単にいうとキンドルストアで売られているコンテンツを買っていく人の大半はやはりキンドルをもっている人のはずだ。これがKindle for iPad あるいはKindle for iPhone へと比重を移していくのかどうかということは現在進行形なので誰にも分からない。この点でいくと、現時点で電子出版化してもまったく売れないコンテンツというのが多数存在するわけだ。そのコンテンツというのはもちろん「電子出版から一番遠い人たち」を対象にしたコンテンツで、端的に言うとシニア層や婦人層、そして幼児向けのコンテンツだろう。そして、まともなコンテンツを作ったからといっても、顧客の目に止まらなければ意味がない。この点で、現時点では日本人向けに作られた万能電子コンテンツ検索ポータル、みたいなものは存在していないと言っていい。(実はHon.jp がかなり近いことをやっているのだが、知らない人が多数だろうからこれはまだ不可視に近い状態だ)欧米ではアマゾンがこれを果たしており、B&NやSONYが追撃する形になっている。すでに書籍のタイトルでは100万以上の数字で競い合うような状態だ。
つまり、電子コンテンツの販売においてはやはり従来のマーケティング手法と全く同じように下記のセグメントをしっかり分析するしかない。
1 対象顧客(既存と潜在)
2 宣伝手法
3 コンテンツ
4 プラットフォーム
これらを全部兼ね備えていないと機能しないのが電子出版の難しいところであり、現時点では1の対象顧客がとんでもなく限定された状態だから余計に難しい。よって、日本の大手出版社は「とりあえず様子をみる」という態度に出るところも多いのだが、これはある意味仕方のない選択肢なのだ。所帯が大きすぎて、船を一気に一部に傾けることは沈没事故につながるからだ。そして、肝心の市場規模がまだまだ小さい上に、アダルトと携帯、そしてマンガに極度に偏っている。そして、肝心の作家が全然事態についてこれていない。これは致命的だ。だから某大手出版社の談にあるように、本格的な立ち上がりまでにはあと4、5年かかるみたいな見解がでるわけだ。(でもこれは逆にいうと腹はくくっているってことで)
先日もまとめてツイートしたのだが、電子出版を巡っては、埋める必要のある「ギャップ」が本当に多い。一番大きなものが「海外」と「日本」、そして「アナログ」と「デジタル」の壁、それ以外にも「端末」と「非端末」、世代や男女差など、市場として受け入れられるにはあまりにも新しい。携帯電話や電子メールも同じように難しかったと思うのだが、それらは基本C2Cで隆盛を誇ってきたものであり、電子出版はB2Cのマーケットである。(BはAuthorかも知れないが)なので、トレンドセッター的な人がいて周りにどんどん啓蒙していってくれる、みたいな状態にはなかなかならない。口コミで本を買ってた時の10分の1ほどにも影響力がないのではないか。
つまりマーケティングは「一から」やり直しである。そして、これまで端末非依存型の電子出版業を営んできた方々もある意味やり直しとなる。(もちろん先行者としてのアドバンテージはあるだろうが、携帯用と電子ブックリーダー用ではまるっきり異なる点が多いので、逆に経験が仇になる場合もある)肝心なのは、日本として電子出版をどこにもっていきたいのか、だ。そしてそれを一番よく知ってるのは消費者だ。今の電子出版を巡るディスカッションで欠落しがちなのは「ビジョン」である。ソフトバンクの孫氏なんかが(別の話だとしても)掲げているような、とてつもなく大きなビジョンをまずは日本全体が受け入れていけるようになるしかあるまい。そうしながら業界関係者全体で電子出版市場を育成していくわけだが、じゃー電書協のビジョンが何かというと、それが見えてこない。このままいくと、従来の手法通りに、「売れた本」からアトヅケで売れた理由を分析して「二匹目、三匹目のドジョウ」を狙うという考え方でしかコンテンツができていかない。だから、要は大手は「ミリオンセラーが出るのか?」というところしか見ていないという言い方ができるわけだ。現時点で電子出版の未来を握っているのは、この「ミリオンセラー・コンテンツ」である。それが可能となったらすぐに話は進むだろう。(実際には書籍の時のミリオンと電子出版のミリオンとはまた意味が違うんだが、規模としては一つの目安となるだろう)
でも一つ問題がある。それは電子出版においては「ミリオンセラー」というのは自己申告にしか成り得ないということだ。これは見過ごされがちだが、大きなポイントだ。カートリッジ式のゲームの売上は流通経由で簡単に把握できるが、オンラインゲームのサブスクリプション(課金)に関しては自己申告以外にモノサシがなく、結果多くのゲーム会社が判断を見誤ることになった。これとまったく同じことが出版業界でも起こっていくだろう。だから、例えば電書協、ひいては日本という国が施策として行うならば電子コンテンツの売上を公正に管理するいわば電子コンテンツの「公正取引委員会」みたいなものを設立するのも一案である。そこにオリジナルの電子書籍コードをもとに書籍とその売上を登録できるようにする。そして、各業者が不正を行わないように管理するといううものだ。そうすれば、オリコンみたいに、電子本の売上ランキングが全国に知れ渡ることになり、それは作家にとっても大きな刺激となるだろう。そしたら今度は価格の問題がでてくる。すでにiPhoneのApp Storeででてきたように、無料のコンテンツと有料のコンテンツでは売上に雲泥の差がある。
こういう風に電子出版を巡っては、まだまだ議論されるべき内容が本当に多くあるにも関わらず、本質的な部分が見過ごされたまま話が先に進んでいっているようで、筆者の中での危機感は日増しに募る一方である。縦書きと横書きにどこまでこだわるのか。。。誰がワード文書を今時縦書きで書いてるというのか。多くのディスカッションは読者を置き去りにした形で進行しており、それこそが電子出版を殺すものである。電子出版で「中抜き」されるべき存在は、すでに市場には必要となくなっている存在で、いわば「自然淘汰」であるからそれは社会的に必要なこととして理解されるべきで、それらが白日のもとに晒されない限り結局電子出版は殺されてしまう。誰が電子出版を殺すのか?
1 7月 2010
70 Percent Royalty Option for Kindle Digital Text Platform Now Available (6月30日)
意外に知られていない事実だが、まだ70%は適用されていなかったアマゾンのDTP。制約条件が多いことで知られるのだが、これで一応印税率という点ではアップルと並んだことになる。Kindleの無線通信(Whispersync)費用はアマゾンが負担しているということから、この印税率アップに伴いデータに応じた最下限の価格設定が適用されたのだが、これまでほぼほとんどの携帯端末やPCに対応してきたアプリ上の売上とキンドル(端末)上の売上の対比などが知りたいところ。もっともアマゾンはそんなデータ公表しないだろうけども。またこのオプションは1923年以前に発表されたいわゆるパブリックドメインのコンテンツには適用されない。
DTP authors and publishers are now able to select the royalty option that best meets their needs. Books from authors and publishers who choose the 70 percent royalty option will have access to all the same features and be subject to all the same requirements as books receiving the standard royalty rate. In addition, to qualify for the 70 percent royalty option, books must satisfy the following set of requirements:
* The author or publisher-supplied list price must be between $2.99 and $9.99.
* The list price must be at least 20 percent below the lowest list price for the physical book.
* The title is made available for sale in all geographies for which the author or publisher has rights.
* The title will be included in a broad set of features in the Kindle Store, such as text-to-speech. This list of features will grow over time as Amazon continues to add more functionality to Kindle and the Kindle Store.
* Under this royalty option, books must be offered at or below price parity with competition, including physical book prices.The 70 percent royalty option is for in-copyright works and is unavailable for works published before 1923 (a.k.a. public domain books). The 70 percent royalty option is currently only available for books sold to United States customers.
1 7月 2010
アマゾンは7月1日付のプレスリリースで同社の電子ブックリーダーのフラッグシップモデルであるKindle DXの価格を引き下げて$379とすることを発表した。今回はグラファイトの新色も追加されたようだ。
先日Android対応アプリが発表されたばかりだが、今回はツイッターやFacebookへの対応も強調されている。(テキストベースのツイッターはともかく、モノクロ画面でどれだけの人がFacebookを見るのかは分からないが)
プレスリリース内容
Amazon Introduces New Kindle DX with 50 Percent Better Display Contrast and New Lower Price of $379
All New, High Contrast E-Ink Screen: Our graphite Kindle DX uses our all new, improved electronic ink display, with 50% better contrast for the clearest text and sharpest images
Beautiful Large Display: The 9.7″ diagonal E-ink screen is ideal for a broad range of reading material, including graphic-rich books, PDFs, newspapers, magazines, and blogsRead in Sunlight with No Glare: Unlike backlit computer or LCD screens, Kindle DX’s display looks and reads like real paper, with no glare. Read as easily in bright sunlight as in your living room
Slim: Just over 1/3 of an inch, as thin as most magazines
Books In Under 60 Seconds: Get books delivered wirelessly in less than 60 seconds; no PC required
Free 3G Wireless: No monthly payments, no annual contracts. Download books anywhere, anytime
Long Battery Life: Read for up to 1 week on a single charge with wireless on. Turn wireless off and read for up to two weeks.
Carry Your Library: Holds up to 3,500 books, periodicals, and documents
Buy Books Once, Read Them Anywhere: Kindle books can be read on all your devices. Our Whispersync technology saves and synchronizes your Kindle library and last page read across your Kindle(s), PC, iPhone, Mac, iPad, Android phone, and BlackBerry device
Social Networks: Share your passion for reading with friends and family by posting meaningful passages to Twitter and Facebook directly from your Kindle
Global Coverage: Enjoy 3G wireless coverage at home or abroad in over 100 countries. See details. Check wireless coverage map.
Built-In PDF Reader: Carry and read all of your personal and professional documents on the go. Now with Zoom capability to easily view small print and detailed tables or graphics
Auto-Rotating Screen: Display auto-rotates from portrait to landscape as you turn the device so you can view full-width maps, graphs, tables, and Web pages
Read-to-Me: With the text-to-speech feature, Kindle DX can read newspapers, magazines, blogs, and books out loud to you, unless the book’s rights holder made the feature unavailable
Large Selection: Over 620,000 books and the largest selection of the most popular books people want to read, including 109 of 112 New York Times® Best Sellers, plus U.S. and international newspapers, magazines, and blogs. For non-U.S. customers, content availability and pricing will vary. Check your country.
Out-of-Copyright, Pre-1923 Books: Over 1.8 million free, out-of-copyright, pre-1923 books are available to read on Kindle, including titles such as The Adventures of Sherlock Holmes, Pride and Prejudice, and Treasure Island. Learn more
Low Book Prices: New York Times Best Sellers and New Releases from $9.99.
Free Book Samples: Download and read first chapters for free before you decide to buy
29 6月 2010
目下アルファサービス中の電子出版ポータル「電子ブック2.0(勿論仮称)」の作業に追われているが、先週久しぶりに新しいコンテンツをキンドルストアに投入した。ヤマモトヒロシという画家のアート集である。これは前作のAkira Tokuda作品群に続くLMDPのアートカテゴリーのコンテンツである。
投入されたのは下記の4作品
HIROSHI YAMAMOTOs Art World (下記三作品のダイジェスト版) $2.99
Hiroshi Yamamoto’s Sumi-e World $3.99
Hiroshi Yamamoto’s Nihonga World $3.99
Hiroshi Yamamoto’s Colour of the City $3.99
Hiroshi Yamamoto‘s Official Website
しかし、これより先にアップロードしている清水先生の俳画についてはまだアマゾンから承認がおりない。。。こういう問題を打開するためにも自前の電子出版ポータルの重要性を強く感じる。
25 6月 2010
アマゾンが本日キンドルの値段をこれまでの$259.00から$189.00に値下げすることを発表した。
電子書籍リーダー端末ではシェアトップを走るキンドルの大幅な値下げはアメリカでも大きな話題になり、各メディアが大きく取り上げた。
下記はHothardware の記事
Amazon Lowers Kindle Price To $189 To Battle NOOK And iPad
筆者の周りではキンドルの価格上のマジックプライスとしては199ドルを上げる方が多かったが、この価格を下回ったことになる。今回はもちろんiPadなどの動きを牽制してのことだろうが、競合のNookや今後でてくるであろうタブレット機に対してこの価格戦略が功を奏することになるだろうか。(もちろん安いのは良い事だが)
25 6月 2010
iBooksよりも遥かに早く書棚型GUIを使ったサービスを提供してきていたペーパーボーイの家入氏運営のブクログが、この度電子出版関連のソリューションを提供するという発表があった。その名も「パブー」
筆者は長年このブクログを愛用してきているので、PR支援の一環として、ブクログユーザーに送られてきたプレスリリースの内容を転載したいと思う。
IT業界ならではのソリューションに期待したいところだ。
━…━━…━━…━━…━━…━━…━━…━━…━━…━━…━━…━…━
電子書籍作成・販売プラットフォーム『ブクログのパブー』リリース!
━…━━…━━…━━…━━…━━…━━…━━…━━…━━…━━…━…━こんにちは。ウェブ本棚サービス・ブクログです。
先日絵本で告知をしておりました、ブクログの新サービス『パブー』を公開
しました。『パブー』は電子書籍の作成・販売ができるワクワクなサービスです。■電子書籍の作成・公開・販売がすべてオンラインで完結!
特別なソフトや知識もなく、ブログを更新するような手軽な感覚で、
本を作成することができます。作成は全て【無料】です。販売も
販売金額や試し読みページを設定してするだけ。とっても簡単です。■ePub、PDF変換でiPad・Kindleなどで閲覧可能
『パブー』で作成された作品は、『パブー』サイト上での公開に加え、
電子書籍フォーマットePubとPDF形式に自動変換されるため、閲覧者は
iPadやAmazon Kindleなどの電子書籍リーダーや、iPhoneなどのスマート
フォンで閲覧することができます。■あなたも編集者に!?みんなで名作を生み出しましょう!
パブーでは、ページ毎に公開ができ、読者はページ毎にコメントをつけ
たり、しおりを挟んだりすることができます。ここ間違ってるよ、もう
ちょっとこういう展開だったらいいのに・・・と読者のみなさんが、ちょっ
とした”編集者”になって、一緒に作品を完成することができます。■注文の多い料理店・青空ファインダー/うめ も読めるよ!
パブーでは、青空文庫とも今後連携したいと考えております。まずは、
人気の高い「注文の多い料理店」や「舞姫」などを無料で読めるよう
ご用意しています。他にも、東京トイボックスのうめさんの漫画も
今なら【無料】で読むことができます!■ブクログIDでご利用可能!
『パブー』はブクログIDでご利用頂くことができますので、ブクログID
をお持ちの皆様は、今すぐ本をつくったり、読んだりできます!これまでは、敷居の高かった”出版”という文化を、ウェブならではの強みを
もって、もっと沢山の人が楽しめるものにしていけるよう進化していきたい
と考えております。ぜひ『パブー』で本をつくったり、読んだりしてみてくださいね。
▼電子書籍作成・販売プラットフォーム『ブクログのパブー』
http://p.booklog.jp/