Apple TVの脅威

(このエントリーは後日アップされています)
日本から来客があってつきっきりだったために今回はライブ中継ができなかったが、今日行われたアップルの新製品コンファレンスはもちろんチェックした。日本からの来客との商談そのものがアップルにずばり関連しているものであるから当然のことなのだが。

熱弁を振るうアップルCEOのジョブスと新型Nano
熱弁を振るうアップルCEOのジョブスと新型Nano

今回のコンファレンスの目玉も新製品ラッシュ、iPod Nano, Shuffle, touch, iTunes10 (アイコンが変わったことのほうが話題になったが、ソーシャルネットワーク機能を備えたPingも見逃せない)そしてApple TVだった。噂のiPadの小型画面版は出なかったし、Apple TVの名前もiTVにはならなかった。しかし、筆者はこれらの中でもダントツでOne More Thing Hobby として発表された新型のApple TVに期待している。筆者自身も数年のApple TVのユーザーだが、この端末はスティーブ・ジョブズが「全くの趣味」と言い切りながら続けているくらい魅力のある端末だ。この端末が99ドルでリリースされるという噂を筆者は全く疑わなかった。(One More Thingで出てくるのも予想してたが、Hobbyになったのはさすがに予想外だった 笑)

新型Apple TV 破格の$99!
新型Apple TV 破格の$99!

注)後にWiredなどはこの端末でのApple の狙いを「モバイルとTVの合体」と評している。

先にGame Centerという新しいマルチプレイヤーのゲーム・プラットフォームを紹介しておいて、最後にApple TVをもってくるというあたり、この端末でいよいよアップルがリビングルームという本丸を制圧してくるという野心が伺えるのだ。すでに25万以上もあるというApp Store上のAppがGame Centerという機能で強化されて、そのままリビングルームにやってくるのを支援するのがこのApple TVという端末だ。(少なくともその可能性は否定できないだろう) 今回は発表されなかったが、まずはGame Centerを立ち上げて様子をみるということなのだろう。

日本国内のゲーム業界はすっかり飽和しきってしまっている上に任天堂ばかりが儲かるWii(とDS)と、なかなか端末の数が伸びなかったPS3の苦戦のために、これまではクロスプラットフォームでの開発を余儀なくされてきた。一つのハードに依存してしまうことのリスクがあまりにも大きいからだ。しかし、iPod, iPhone, iPad, Macbook,という別々のプラットフォームをもっているApp Storeの市場にHDMI端子を搭載したテレビ向けSTB(セットトップボックス)であるApple TVが加わることにより、マックユーザーだけを狙ってもクロスプラットフォームができてしまう。(もちろん開発環境は他のハードに対応するのに比べて遥かに簡単であるのは言うまでもない)

動画配信が今のところメインの機能だが、これに対してはアップルの発表数時間後にアマゾンが今度はオンデマンド動画配信のコストを下げてきたというから、まさしく戦争状態だ。やはりテレビは本丸だったわけであるが、すでに体感型のコントローラー(に成りうるiPhone/touch)を有しているアップルの囲い込み戦略をKinect(マイクロソフト)やMove(SONY)はどう迎えうつのだろうか? そして、もうすぐ前世代のハードとなってしまいそうなWiiを擁する任天堂に秘策はあるのか。ますます目をそらせない展開だ。(本当にゲーム業界にいなくてよかったと思うほどの乱戦模様である)

また、Apple TVはすでにFlashATVなどのハックが公開されており、BOXEEなどで魅力のあるコンテンツを制限なく楽しめるようになっている。新型もすぐにハック(ジェイルブレイク?)されるに違いない。
一方、先日ジェイルブレイクされたPS3はSONY側の法的手続による抵抗でハッカー側と攻防が続いており、まだ一般的にはキットが出まわっていないようだが、SONY側にとっては本当はこちらを早めたほうが囲い込み的に有力なような気がする。PS3の方が断然スペックは上だし、何より新型Apple TVにはHDDがないのだから。。。 

4週間後に発売される予定のApple TVを是非とも手に入れたいと考えている。(家のをどうするかが問題だが。。。)

当日のプレゼンはAppleが公式にストリーミング中継した。下記サイトでビデオを確認できるので、まだの方はぜひご視聴ください。(英語の勉強にもいいかも)

Apple公式サイトで動画の視聴が可能
Apple公式サイトで動画の視聴が可能
立入 勝義 (Katsuyoshi Tachiiri) 作家・コンサルタント・経営者 株式会社ウエスタンアベニュー代表 一般社団法人 日本大富豪連盟 代表理事 特定非営利活動法人 e場所 理事 日米二重生活。4女の父。在米歴20年以上。 主な著書に「ADHDでよかった」(新潮新書)、「Uber革命の真実」「ソーシャルメディア革命」(ともにDiscover21)など計六冊を上梓。

2件のコメント

  1. […] さて、本題に戻すと、筆者の観点から見た同日のコンファレンスでの目玉ははっきり言って二つ。先日のエントリーでも紹介したApple TVと、Game Centerである。 コンソールキラーとなるか? […]

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