Amazonがキンドルのビジネスモデルを変更する可能性?

出張前のバタバタは相変わらずのことだが、それを理由にブログの更新を怠っていてはブロガーとは言えない。ということで、数字前に言及しておきたかったアマゾンの告知について、ここで軽く触れておきたい。

アマゾンは去る3月10日に地味だが、こんな発表をしている。AmazonWireless Expands T-Mobile Offering さすがにダブルバイトフォントは厳しいのか、それとも日本の出版社からの何らかの圧力を受けているのか、待望の日本語フォントが追加されないまま3月も半ばに入ろうとしているのだが、この地味な告知が逆に気になった。

SEATTLE, Mar 10, 2010 (BUSINESS WIRE) — AmazonWireless, an Amazon website offering easy, rebate-free shopping and FREE Two-Day Shipping of cell phones and service plans, announced today that it has expanded its offering from T-Mobile(R). In addition to T-Mobile individual or family plan contract extensions, customers can now establish a new individual service plan with T-Mobile, with the option to keep the telephone number from their previous service provider. This gives customers an even greater experience and selection of phones to choose from at AmazonWireless.

“We’re working relentlessly to increase our selection of phones, service plans and options to meet our customers’ needs,” said Paul Ryder, vice president of Consumer Electronics for Amazon.com. “Adding more T-Mobile service options is a big step in that direction, and we’re thrilled.”

ちなみに下記がT-Mobileのベストセラー端末。ブラックベリー端末とそのユーザーをアマゾンはアップルと差別化されたニッチだと考えてターゲットにしているのかも知れない。2位に姿を見せているアンドロイド端末との関係も気になるところだ。アップルに携帯端末のシェアを取られて悔しい思いをしているメーカーは多いはずなので、反アップル連合は構築されつつあるのかも知れない。(あくまで足並みが揃えば、の話だが)

Bestselling T-Mobile phones available at AmazonWireless:
1) BlackBerry(R) Bold(TM) 9700-Titanium
2) Motorola CLIQ Android Phone with MOTOBLUR
3) BlackBerry(R) Curve(TM) 8520 – Black
4) BlackBerry(R) Curve(TM) 8520 – White
5) Samsung Highlight t749 Phone
6) Samsung Gravity 2 Phone
7) HTC Touch Pro2(TM)
8 ) T-Mobile 3G Dash Windows Phone
9) Sony Ericsson Equinox Phone
10)Samsung Behold(R) II

要はアマゾン(キンドルではない)がT-Mobileとの提携を強めていく方針にあるということだが、現在キンドルのワイヤレスであるWispernetはスプリントという別のキャリアを通して供給されている。ここでT-Mobileとの関係を強化していくということは、もしかすると将来的にはアップルのように通信費用を顧客に負担させるタイプのビジネスモデルに移行していく、あるいはそういうモデルを追加していく可能性があるのではないかと勘ぐってしまうのである。通信費が著者に対する印税率の引き上げを難しくしているのは事実であり、アマゾンにしてみればコンテンツが売れればいいわけだから、逆にキャリア側がキンドルのような電子ブックリーダーあるいはそれに近い端末を供給するのを望めば事は成る、というわけである。(しかし「 Kindle for iPad 」は将来発売されるのだろうか、非常に興味深い) AT&TとVerizonがアップルに歩み寄っている間にアマゾンはT-Mobileとの関係を強化しているということか。B&Nに押されまくりのもう一つの大手書店Bordersはますます組む相手がいなくなりそうな気配だ。

立入 勝義 (Katsuyoshi Tachiiri) 作家・コンサルタント・経営者 株式会社ウエスタンアベニュー代表 一般社団法人 日本大富豪連盟 代表理事 特定非営利活動法人 e場所 理事 日米二重生活。4女の父。在米歴20年以上。 主な著書に「ADHDでよかった」(新潮新書)、「Uber革命の真実」「ソーシャルメディア革命」(ともにDiscover21)など計六冊を上梓。