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著作権問題の行方著作権問題は電子出版に関わる話題の中で専用端末(電子ブックリーダー)に関する論議と並んで花形の話題である。この問題には当然「印税(率)」の配分にも関わってくるわけであり、商売にとって肝要な「お金」の部分であるから当然の話だ。しかし、現状この著作権問題についての議論は容易なことではない。すでにネットや雑誌、電子出版に関する著作などの他の媒体でも多く採り上げられているように、基本的には過去(例えば90年代以前)には「電子出版」という概念すらなかったわけであり、それまでの出版契約に電子出版に関する条項などが盛り込まれていないのは当然のことである。この著作権問題については、法律家という非常に手ごわい相手が常に登場する問題であるので、一般的には先駆者たる大手が道を切り開くこととなる。電子出版界で言えば、これはアマゾンよりも先に、「世界電子図書館構想」を打ち立ててきたグーグルであった。それにアマゾンとアップルが続くという格好だ。

ダボス会議というのを聞いたことがあるだろうか?スイスの一都市であるダボスで開かれる世界経済フォーラムという団体の年次総会だ。同フォーラムはもともとスイスの大学教授で実業家でもあるクラウス・シュワブ氏の提唱で1971年に発足したのが始まりとされる。この会議では世界を代表する政治家や実業家が様々な主題で議論を交わすために年々注目を集めるようになってきた。(2010年は1月27日~31日まで開催され、世界の約90カ国から2500人以上の各界のリーダーが集まって討議した。ちなみに同年は同会議の40周年記念でテーマは「Improve the StateoftheWord:Rethink,Redesign,Rebuild”(世界の現状改善に向けて:再考、再設計、再構築)だったが、TwitterやFacebook、WikipediaやNingなどの世界の大手ソーシャルメディアサイトの代表がこぞって集まって先進的な議論をすることで社会貢献をしたのが話題になった)

筆者は法律家ではないので、法律的な見解は専門家に委ねることとしたいが、一つ気になる動きを述べておきたい。それは金融オフショアのように著作権オフショアが勃興してくる可能性である。現状実は世界の中でこの電子出版を巡る著作権の動きに一番前向きな姿勢を示している国が二つあるのだが、それはドイツとスイスという欧州勢である。ドイツでは毎年世界最大規模のブックフェアが開催されているが、そもそも15世紀半ばに登場し世界三大発明の一つと呼ばれる活版印刷術を発明したとされるのがドイツ人のグーテンベルクであり、この活版印刷の技術がルターに聖書のドイツ語翻訳を促し、プロテスタントと呼ばれるキリスト教の新しい流れの成立を促して宗教改革を起こしたことは歴史を学んだ者なら誰もが一度は耳にいれる有名な話である。つまりドイツはそれだけ「出版技術」というものに対しての関心度が高いということでもあり、電子出版でも先進的な立場をとっているのは頷ける。実際に最近凋落が激しいアメリカのIT業界に比べ、ドイツのような欧州勢が特にソーシャルメディアや一部の分野に特化した情報配信系ポータルなどで活躍しているという噂をよく耳にする。例えばMAYOMOというソーシャルサイトがその例である。(本サイトについてはまた後ほど第4章で語ることになる)

MAYOMO トップ画面

MAYOMO トップ画面

ソーシャルメディアは電子出版と深く関わってくる分野だが、それがドイツで成長してくる背景には、どこかでブレイクして巨大化した後に待ち受ける世界との著作権法論争に巻き込まれないため、あるいはことを有利に運ぶための手法ではないのかとも勘ぐれるのである。またこれと同様に例えばツバル(Tuvalu)という南太平洋にある人口1万人足らず(バチカンについで世界で二番目に少ない)小さな島国がテレビの略称TVに似た.TV ドメインというドメインを世界に販売することで(一時的かも知れないが)収益力を大きく伸ばしたこと、あるいはカリブ海に浮かぶケイマン諸島やバミューダのようにタックス・ヘイブンの利点を活かせるオフショア金融センターとして世界中の資産家から重宝されたようなことと同じように、収益難に苦しむどこかの国が画期的な著作権オフショア国としてオフショア出版を盾に世界市場で覇権を握るという可能性もあながち否定できないのである。日本はこうした動きにも目を見張るべきである。これまで日本を支えてきた「内需」が少子高齢化と国際競争力の低下により、どんどん下がってくるであろう近い将来を見据えた場合、もはや国内だけを向いているという姿勢を根本的に変えて世界の競合を迎え撃つ姿勢、あるいはむしろ自ら進出していくという体勢を整えていくことを急務であると認識すべきだ。

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