「東野圭吾イッキ読み」シリーズを終えて ~意力推薦 東野圭吾作品ランキング発表~

今月、「マスカレード・ホテル」をもって、昨年から始めた「東野圭吾イッキ読みシリーズ」を無事読み終えた。

読んだ作品は実に77冊(参照:東野圭吾著作リスト、歪笑小説まででサンタのおばさん含む」!
実際にはいわゆる「東野圭吾本」も数冊読んでいるので、80冊以上は読んだことになる。我ながらよく読んだものだと思う。

最初は長期執筆中の「ウィキペディアンの憂鬱」の参考にと思って始めたのが、多彩な作風をもつ東野ワールドに魅了され、どんどん読み進んでいった。初期の本格ミステリもさることながら、地元大阪市生野区の先輩だということもあり、特にエッセイ集や浪花少年探偵団では地元の風土についての描写が楽しめ、腹を抱えて笑ったこともしばしば。

東野圭吾フリークを目指し、これからは新作が出るのを心待ちにしつつ映像作品などもすべて制覇していきたいと考えている。
最近仕事の忙しさにかまけて、すっかり更新頻度が落ちているこのブログでも書評を書いていきたいと思っている。地元びいきの筆者は、少しでも東野作品が多くの人に読まれることを切に願っている。(東野先生はすでに紛う事無き日本一の売れっ子小説家ではあるが)
特に、本格ミステリ以外の社会問題を取り扱った小説は奥が深く、メッセージ性が強い。これには原発を扱った「天空の蜂」、医療問題にフォーカスした「使命と魂のリミット」(先日舘ひろし主演で映像化されたばかり)、一瞬大震災を予言したのかとも思えるような「パラドックス13」などがあり、いずれも読み応えたっぷりの作品である。

書評やランキングを始める前に、東野圭吾ソムリエとして筆者のオススメ作品を列挙したい。

意力ブログ推薦 東野圭吾作品

総合ランキング
1.変身
- カフカの同名作をモチーフに、したかどうかは分からないが、脳移植によって2つの人格が宿ることになった男の数奇な人生を描く。
著者自身が自信作だったと語るほどの力作だが、曰く当時はまったく評価されなかったらしい(たぶん最後のご挨拶 より)
2.使命と魂のリミット
- 医療問題を巡る本格社会派小説 人の生命に携わる職につくものたちの生き様を描く
3.回廊亭の殺人
- 本格ミステリ作品は多くあるが、叙述トリックにまんまとハマって思わず何度も該当箇所を読み返してしまったのがとにかく印象に残っている作品。
4.赤い指
- 家族を描いた作品。東野作品には一貫したテーマがいくつかあり、「アイデンティティ」(変身、分身、秘密、カッコウの卵は誰のもの、トキオ、片想いなど、パラレルワールドラブストーリーなど)と「家族」(秘密、赤い指、鳥人計画、真夏の方程式など)はその主たるもの。シングルマザーに育てられた私にはこの作品が一番痛切に響いた。
5.どちらかが彼女を殺した
- 犯人が二人のうちどちらか分からないという趣向を凝らしたエンディングが話題になった作品。同じシリーズで容疑者が3人になった「わたしが彼を殺した」よりはこちらのほうが犯人を特定しにくかったのは私だけだろうか。(もっとも袋とじを読んだら簡単に特定できたというだけだが)とにかく楽しめる。

エッセイ集
1.たぶん最後のご挨拶
- エッセイの中ではこれが一番良かった。東野先生に、どれか一冊にサインしてもらうとしたら、私はこれにサインしてもらうだろう。
2.あの頃僕らはアホでした
- 地元大阪市生野区のエピソードがふんだんに盛り込まれており、自分自身の体験談と照らし合わせて楽しめた作品。先生から許可をもらえれば「やっぱり僕らもアホでした」というタイトルで、16年後の生野区体験談を書いてみたいものだ(笑)
3.歪笑小説
- コメディ集のシリーズ4作目。作家の悲哀を描くほろ苦い作品。

何でもNo.1

既婚男性が読んだら一番怖い作品 → 夜明けの街
- 映像化もされたこの作品で背筋が凍る思いをした既婚男性は多いはず。新婦さんは、新郎さんにそれとなく読ませましょう(笑)

どこかで見たあの映画の1シーンがよぎり、思わずゾッとする作品 →ダイイング・アイ
- オマージュかどうかは分からないが、女性の怨念を感じさせられる。昔似た様なプロットを週刊少年ジャンプのある漫画で読んだことがあるような気がした。(ゴッドサイダーかな)

絵本一位 →サンタのおばさん
- まぁ、一冊しかないんで当然といえば当然だが。。。こういうのももっと書いて頂きたいなぁ、と。女性の台頭が目覚しい昨今、内容は世界にも通じるものだと思う。

天邪鬼な筆者は、どうやら「白夜行」や「容疑者xの献身」などの代表作を推すつもりがないようだ(笑)まぁ、私が推さなくても多くの方は読まれているに違いないし。

オマケ (先日のソーシャルメディアウィークで講談社に行った時にGeekBeat.TVのJohnに撮影してもらった写真)

麒麟の翼は本を読んだ後に映画を見ると、理解が深まるのでオススメです。原作よりも、とは言わないまでも、非常に良くできた映画でした。

立入 勝義 (Katsuyoshi Tachiiri) 作家・コンサルタント・経営者 株式会社ウエスタンアベニュー代表 一般社団法人 日本大富豪連盟 代表理事 特定非営利活動法人 e場所 理事 日米二重生活。4女の父。在米歴20年以上。 主な著書に「ADHDでよかった」(新潮新書)、「Uber革命の真実」「ソーシャルメディア革命」(ともにDiscover21)など計六冊を上梓。