いまを生きる – 縞馬たちへの伝言 12

(この連載はティーンエージャー向けに書かれています)

少し間が空いてしまったけど、このブログのことを忘れないでいてくれてありがとう。
日本ではワールドカップですごく盛り上がったことと思う。世界を舞台に日本人が戦う場というのは、本当はどこにでもあるんだけどオリンピックやワールドカップといったスポーツのイベントに関しては見るほうも分かりやすいし、勝ち負けがはっきりするから応援するほうも一丸となる。中継は遅い時間帯だったのにテレビでは瞬間最大視聴率が70%近くまでいったということだから、それだけでも熱気が伝わってくるようだ。もちろん僕もアメリカから日本を応援していた。結果的に負けはしたものの何が起こるか分からない「最高の瞬間」を楽しめたと思う。僕は心から日本代表チームに感謝している。

ところで、よく「出る杭は打たれる」という表現を聞くと思う。これは日本が農耕民族として「」を尊ぶ精神を持ち続けてきたことの反面からくるあまり好ましくない風潮だと僕は思っている。ここでいう「杭」というのはすなわち「個性」のことだ。他人と違う人間に対して周りがそれを指摘して、仲間はずれにする。「村八分」(むらはちぶ)という言葉を聞いたことがあるかな?これは村で行われるイベントの八割で無視するということだ。残りの二割というのは放置すると周りの人間に迷惑がかかる場合だそうだ、例えば死体を放置しておくと周りに迷惑がでるから葬式だけは構ってあげるとか、火事は消さないと周りの民家が焼けるとか。

でも歴史を作るようなスーパーヒーローや英雄はみんな超個性的だ。もちろん彼らはちょっとやそっとのことで負けたりしないんだろうけども、日本にはもっと個性や「違い」を尊重する文化が育ってもいいと思っている。例えばアメリカという国は本当に個性を尊重する文化をもっている。これは人権という意識に基づいたものだ。
ワールドカップで活躍する選手は皆、普通の人とは違った個性をもっている。もしかしたら他のことに興味がないかも知れないし、学校の勉強なんてできないかも知れない。だけど彼らは自分が何を好きで、何が得意かを知っていて、そのスキルをもって日本を代表して戦うことができる。

一度きりの人生では誰もがみんな主人公だ。例外はない。悔いがないように一生懸命生きることだ。「事実は小説より奇なり」という言葉があるんだけども、その通りだと思う。君たちが本で読んだりテレビで見たりするような話よりも、もっとドラマチックな展開が自分の人生に起こると思って欲しい。そして、できれば周りでそんな夢に向かって頑張ってる人たちのことを馬鹿にしたりしないでサポートしてあげて欲しい、それがどんな分野であってもだ。自分が頑張ってる時に声援をもらうのは本当に心強いものだ。僕もこのブログを書きながら「いつも読んでますよ」とか「友達にも薦めています」とか言われるとむしょうに嬉しくてどんどん書く気が湧くし、心ない発言に落ち込んでしばらく書けなくなることだってある。他人と自分の間に線を引かないことを覚えて欲しい。

Seize the Day (ラテン語でCarpe diem カルペ・ディエム)という言葉がある。これは「いまを生きる」という意味で、同じタイトルの映画(原題はDead Poet Society)ででてくるセリフなんだけども、僕はこの言葉も映画も大好きだ。ぜひみんなも自分の人生のドラマを精一杯楽しんで欲しい。

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立入 勝義 (Katsuyoshi Tachiiri) 作家・コンサルタント・経営者 株式会社ウエスタンアベニュー代表 一般社団法人 日本大富豪連盟 代表理事 特定非営利活動法人 e場所 理事 日米二重生活。4女の父。在米歴20年以上。 主な著書に「ADHDでよかった」(新潮新書)、「Uber革命の真実」「ソーシャルメディア革命」(ともにDiscover21)など計六冊を上梓。