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出版業界はいったい何をやろうとしているのか、で始まる同コラムをCNETで読んだ。
ちょうど佐々木氏の話題の新作「電子書籍の衝撃」が明日発売される。筆者も一足先にPCとiPhoneで数度読ませて頂いた。
今週はその他にも同氏の次世代ウェブ グーグルの次のモデル (光文社新書)を読ませてもらったので、頭の中には佐々木節がうずまいている(笑)佐々木氏がまさしく次世代のソーシャルメディアを引っ張っていく、オピニオンリーダーの一人であることは何冊か彼の著作を読めばすぐに分かることだ。情報は幅広く、切れ味が鋭い。当人が同調されるかどうかは分からないが、筆者のテンションと佐々木氏の論調は非常に似通ったものがあると自分で思っている。現在ほぼ脱稿しつつある執筆中の著作には先日「電子ブック開国論」と名づけたので、まさしく表題のエントリーにシンクロしている。

曰く、

iPadの発売を目前に控えて空前の電子書籍騒動が巻き起こっている。iPad や Kindle など海外の使いやすそうな電子書籍サービスがいよいよ日本に本格参入してきそうな雲行きの中で、ここに来てにわかに「日本産の電子書籍プラットフォームを作ろう!」などという声が出版業界や霞ヶ関あたりから聞こえてきている。

そうだ。日本の出版界はここに来て、ハチの巣をつついたような大騒ぎになっているようにしか見えない。何も今に始まったことじゃないのに!
筆者が電子出版事業を見つけて「金脈だ!」と騒いでいた昨年の春頃、日本では電子出版なんて流行らない、という意見が多かった、というかそれしかなかった。会う人会う人にそのすばらしい可能性と、これをもって日本のクリエイターが海外に進出するチャンスが増大することを説いた時、新しもの好きな私を知るごく身近な人でさえ、その多くは電子出版が日本の出版市場に影響を与えることなど考えてもいなかったのだ。(稀に例外がいて励ましてくれたので事業を続けることができたので感謝している)

しかし、残念ながら佐々木氏が言うように、時すでに遅し、である。決して希望がまったく無いとは言わないが、しかし、今回も残念ながら付け焼刃で勝てるような相手じゃないことは事実だ。失礼な言い方だが、今の日本の出版界は黒船が波打ち際まで迫っているのに、浜辺でバタバタ騒いでいるようにしか見えない。戦に例えていうならば、本来ならば、遠距離砲の何発かでもうって威嚇しておくとか、空中戦をしかけておくとかして相手の様子を伺ったりしておくステージが遅くとも昨年までに繰り広げられて然るべきだった。
「こんなはずじゃなかった」とは言わせない。今年のCESに来なかった人の多くは去年のCESが面白くなかったからとか、不況で経費削減があったから、とかいう理由なのではないかと察する。しかし、それは電子出版においては全く正反対の戦略だった、何故ならきっちり時代の流れを読んでいたら今年が電子ブックリーダー元年になり、今年のCESに電子ブックリーダーが大挙して現れるのは明らかだったからだ。筆者はCES2009には行かず、その前年に行ったと思うが、その時は「電子フォトフレーム1/」があるだろうと思って視察しにいったように記憶している。そしたらビンゴ!大手ブースで景品として配られるくらいそれだらけだった。このように、日本はいまだに海外に全く正しいマーケティングの視線を向けられていない。それどころか、未だに「開国か鎖国か」を続けている。もう150年も経つというのに。。。

氏の挑発的な見出しは続く
既得権益防衛に走る高齢高所得出版社員たち

野間副社長は「出版社が中抜きされる」とさかんに記者会見で発言したらしい。たしかにiPadやKindleのような書籍の直接流通を可能にするプラットフォームが現れてくれば、従来のような出版社ビジネスは変容を迫られる可能性は高い。

しかしだからといって、その「中抜き」を防ぐために業界団体を作って既得権益防衛に走るというのは、本当に正しいのか。そもそも従来の出版社ビジネスが中抜きされたからと言って、それによって困るのは出版社の高齢社員だけだ。読者は喜ばないし、著者も喜ばない。いや出版社だって、若手社員は「もう逃げ切れないから、今後の大波を覚悟して頑張ろう」と思っている人が圧倒的に増えている。結局、中抜きを短期的にでも回避できたらハッピーなのは、あと10 年ぐらいで定年退職すれば逃げ切れると思っている高給の高齢社員だけなのである。こんな人たちにつきあわされる若手出版社員こそいい迷惑というものだろう。

歯に衣着せぬ、とはこのことだろう(笑) しかし、これも実際に筆者が前回日本に出張に行った際に聞いたままのことである。いやいや、そんなことで日本の未来を台無しにしてもらったら困ります。

次の二つの見出しも、完全に同意できる。
プラットフォーム戦争に敗走している日本
AppleやAmazonを排除するな、堂々と戦え

そして、最後から二つ目の段落にある下記の文章がまさしく電子出版からソーシャルメディアへとつながる一連の社会変革にとって一番大事なことだ。。。

だから電書協が何を考えようと勝手だが、iBookStoreやKindleStoreへの書籍コンテンツの提供を拒否し、自前のプラットフォーム用にとっておくようなことだけは断固としてやめていただきたい。海外サービスにも国内サービスにも同じようにコンテンツを提供し、その上で読者の選択を仰ぐべきである。

そう、主権はユーザー、つまり読み手に回帰すべきだ。値段にしても、売れ筋にしても、それは全て市場の声が決めることである。時代はマスメディアからソーシャルメディアに移行し、マイクロインフルエンサーが脚光を浴びてきているのと同じことだ。

しかし日本よ、まだ終わりではない。迎撃する手立てはまだ残されている。そう心の中でつぶやきながら、筆者も「開国論」の筆を走らせている。
アップル・アマゾン両陣営が将棋でいうところの、「陣形」をまだ完成しきっていない今ならば、まだ理論的にはひっくり返す方法は残っていると思う。
もちろん世界を舞台にしてアップルやキンドルと電子出版で互角に戦える可能性はかなり低いが、うまく立ち回ればまだ日本は脚光を浴びる方法があるはずだ。持ち時間が少なくなってきているのは歴然とした事実である。だが、ここで焦ってとんでもなく短視野的な戦術をとることほど馬鹿げたことはない。全体像を把握できて、かつ行動の指揮を取れる人物が大手側にいるかいないか、そこに全てがかかっているような気がする。

何だか革命家みたいになってきた(笑)が、先日いろいろと事業方針の転換についての相談をさせてもらったJBSアメリカの大内社長、日本のポップカルチャーをアメリカに広めるためにアメリカに単身(奥さんも一緒だけど)乗り込んできて、凄絶な戦いを繰り広げたワンアンの市村恭一氏と話した結論がそれだった、結局我々が今やろうとしていることはちょっとした革命運動である。それぞれ武器が違うだけだ。そして私はその剣をビジネスからペンへと持ち替えたところだ、そういうタイミングなのだということに改めて気づかされたのだった。

4月下旬(で、いったいいつなんだろう?)の日本でのiPad発売を控え、時代はまさに電子出版革命前夜。「夜明け前が最も暗い」という言葉がある。北野武が不祥事を起こして当時謹慎中だった弟子そのまんま東(現東国原知事)に向けていった激励の言葉としても有名だ。市場で混乱している人々と同じくらい、私もある意味切羽詰まった緊張感のある毎日を過ごしているが、夜明けを示す一筋の光明は最後まで諦めず努力を尽くした者たちをきっと照らすものと信じている。しかしそこにはまず自己否定という重い扉を自分の意志で開かなければならない。。。

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Hatena Bookmark - 電子書籍の開放を阻むべきではない by 佐々木俊尚 ジャーナリストの視点
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