キンドルの国際版が発売に!

昨夜スタッフの一人から送られてきたメールが全ての発端だった。

Amazon(日本ではなく米国本社)がキンドル(Kindle)の国際版をリリースするという。これは電子出版業界のみならず、世界的にかなり衝撃的なニュースだろう、というのも著作権上などクリアーしなければならない課題がいくつもあるように見受けられるのにも関わらずいきなり世界百カ国対応というのだから。フォントは依然英語だけだが、「海外に住む洋書ファン」のために販売され、AT&Tのローミングネットワークを使ってWispernet (3G通信によるダウンロード)が使えるという。これで日本出張中にもKindleを利用できるようになったわけで、個人的にも有難い話である。(当社にはKindle2とDXが計3台あるが、また1台増えそうだ) アマゾンは間違いなく出版革命の先駆者であり続けるであろう、少なくともしばらくは。

Kindleintl

↑アマゾンのトップページで大きな告知文が出ているので見られたかたと多いと思うが、ここに原文の一部を転載してコメントを追加してみる。

>Kindleがあれば、この本と思ったら60秒以内に読んでいることも可能です。最新の携帯電話に搭載されている3Gワイヤレス技術を採用しているため、アクセスポイントを探す手間もなく、世界100カ国以上でご利用いただけます。また、携帯電話のような月々の使用料もなければ、年間の契約も必要ありません。ソフトウェアのインストールや同期の心配も無用です。

(コメント)単なる紹介文だが、「この本と思ったら。。。」のくだりは少し校正の余地があったのではないか(苦笑)

>Kindleで読んでいただけるコンテンツとして、28万冊以上の英語書籍のほか、アメリカおよび世界の主要紙-New York TimesやInternational Herald Tribune-Asian Editionを取りそろえました。私たちのビジョンは、こでまで出版されたすべての本をすべての言語で、60秒以内にKindleで読めるようにすることです

(コメント)Kindle Storeでは現在36万冊以上を謳ってるはずだが、残りの8万冊弱はいったいどこに?しかしすべての言語とはなかなか大見栄をはったものである。もちろんできたらすごいが。。。その頃にはいくつもの出版社が消えてしまっているかも知れない。当社が出版している日本語学習コンテンツは依然好調な売れ行きだが、LMDPのコンテンツもいよいよ世界に向けて配信されるようになったということか。

>KindleはAmazon.comで最もギフトに望まれ、実際に贈られ、私たちが販売している何百万もの商品の中での売上No.1なのです。

(コメント)誰しもアマゾンの豊富な製品群については十分に知っている訳なので、これはなんともインパクトのあるフレーズだ。

当社ではオンラインマーケティングの一環としてキンドルや電子出版など、特定のキーワードの検索結果を常に追跡しているが、このニュースを皮切りにGoogleなどの検索エンジンでもあちらこちらでキンドル関連の話題が取り上げられ、順位の変動が目覚しい。それだけあちこちにインパクトを与えているということだろう。

ちなみに今回は6月のKindleDX発売および新学期キャンペーンに続いて価格改訂が入っている。いよいよ259ドルとなった。周囲の人にマーケティングをした際に希望として多かったターゲット価格の199ドルまであと60ドルに迫った。インターネットが基本タダで使えるということを考えると、もうかなりのお得感がある。

新価格
新価格

私はキンドルというハード自体はアメリカ→イギリス→カナダ(フランス語対応)→EU諸国(ドイツ語・スペイン語対応)という風に東回りでいわば歴史を遡る形で展開すると分析しており、今回の流れは大きなイレギュラーであったものの、ハードウェア自体が各国で販売される訳でないということからしても、ほぼ想定の範囲内の動きだと考えている。が、この国際版の発表時期は思ったよりもかなり早かったという感は否めない。英語でKindle Storeでのコンテンツを出版している当社にとっては追い風で嬉しい悲鳴ではあるが、最近の一部のコンテンツを巡ってのアマゾンとのやり取りや購入されたコンテンツが削除された一連の事件の経緯などから判断するに、このアマゾンの動きはやや大胆すぎるように思う。冒頭にも書いたが、この動きは私には理解できないいくつかの問題を抱えており、後にあちこちの市場でトラブルを巻き起こす可能性があるように思うのだが。。。こちらについてはまた機会を変えて見解を述べたいと思う。

話は少し変わるが、いわゆるeBook Reader (電子ブックリーダー、この呼び名が定着するかどうかは別として)のハード市場も盛り上がりがすごい。すでに20種類以上のリーダーが出ているかと思うが、来年のCES(ラスベガスで毎年行われる全米最大の家電系展示会)ではこないだの電子フォトフレームのように、いたるところでこの類のハードが見られるのではないか。今のところ市場を牽引しているのは台湾で、政府も大きく予算を投入する方向のようだ。液晶に強い韓国もSAMSUNG を中心に追いかけていくだろう。日本のメーカーは今のところSONY 以外には見当たらないが、またしても出遅れているという感がある。

いずれにせよ、先日の日本出張でも大きなプロジェクトがいくつも舞い込んだことからも、不景気も一つの峠を越えてきているようで、これからは特に「勝ち組」企業は忙しくなるであろう。波をうまくつかめるように頑張りたいものだ。

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立入 勝義 (Katsuyoshi Tachiiri) 作家・コンサルタント・経営者 株式会社ウエスタンアベニュー代表 一般社団法人 日本大富豪連盟 代表理事 特定非営利活動法人 e場所 理事 日米二重生活。4女の父。在米歴20年以上。 主な著書に「ADHDでよかった」(新潮新書)、「Uber革命の真実」「ソーシャルメディア革命」(ともにDiscover21)など計六冊を上梓。