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昨年からアマゾンのキンドルストアで地道にコンテンツを販売してきて、電子出版の可能性に目をつけてから積極的に当ブログでも情報配信を行ってきました。

日本で電子出版の熱が高まったのは素晴らしいことだと思いますが、なんだか加熱しすぎていてよくありがちな「一過性のブーム」化してしまわないかというのが逆に懸念になるほどです。(ツイッターなんかはまさにそうだと思いますが)

さて、これまでの各社、各サイトの動きを見てきて、私なりの見解が見えてきたので、ここで日本の電子出版界に対して意力なりのソリューションを提示してみたいと思います。
これは一早く、私の見識と経験を尊重してくれたメディアタブレット社との協業によるものです。もちろん大手三社みたいな予算もコンテンツももってはいませんが、弱者には弱者としての戦略があるということを一つずつ形にして日本と世界に提案していきたいと考えています。アルファサービスが来週立ち上がり、月内にはベータに移行予定。今のところ7月上旬に公式サービスをローンチ予定。私の「電子ブック開国論」の電子版やその他の有名作家の新作コンテンツなどもそちらで披露していくことになります。

電子出版についてはただでさえ難しい話が、どんどん多角化していくことで複雑になってきていると思います。アメリカと日本を比較しても、違いはあちこちに見受けられます。ただでさえITにうとい作家のみなさんの多くはすでにディスカッションのかやの外にいるのではないでしょうか。きっと多くの読者も同じような思いで困惑しながら市場を見つめていると思います。

日米の大きな違いの一つはソーシャルメディアに対する日本の意識の低さ。これはジャーナリズムがしっかり根付いてこずに、「大本営」的報道を鵜呑みにして、容認し続けてきたことに起因すると考えています。紙媒体がメディアを強烈に後押ししてきたように、電子出版はこれからソーシャルメディアを力強くバックアップします。ブログやツイッターなどのツールを自在に活用して社会に良質な情報を発信していく書き手はこれから増えていくでしょう。キーワードは「脱大手依存」、そして「目利き」の重要性だと考えています。

もともと独立志向が極端に低い日本の社会において、ソーシャルメディアの成立は困難かも知れませんが、例えばこれからは朝日新聞社のような大手メディアを早期退職する書き手が、多くソーシャルメディアの業界に流れ込んでくることは十分に考えられます。しかし、ソーシャルメディアが市場から十分な認知とレスペクトを集めない限り、そこには常に資金的な問題がついて回り、多くのメディアは長くは続かないと思います。ソーシャルメディアと電子出版がこれから共同で戦っていく壁の一つが「ウェブは無料」という概念です。人気を集めるために無料で行う宣伝活動はもちろん必要ですが、そこには成果として測定可能な売上金額がどこかについてこなければなりません。

電子出版では誰もが簡単にコンテンツを作成して販売することができますが、それらのコンテンツから得られる収益で生活できる作家はごく一握りだと思います。しかし、それは現在もそうなのですから、何も変わったことではなく、要は作家がコンテンツを売りやすい環境をどう構築していくかということだと思います。

その為には、いわゆる「中抜き」行為がある程度は必要になってきます。これは、収益性を上げるためというよりは、風通しをよくして市場をよくするために必要な行為です。というのも読者の声に耳を傾けない限り、自分のコンテンツを市場で好評を博するものへと変えていくことは難しいからです。これにはまた違う側面もあり、書き手とファンとの間が近くなれば、その分心理的なインセンティブが働き、読者は作家を支持しようとするはずです。(コミケ繁栄の背景にもそういった現象はあると思います)

話をコンテンツに移すと、電子出版でとかくフォーカスされがちな、日本のコンテンツが性描写や暴力の描写でアップルに拒絶されたというような話は、アップルが横暴だとか日本が表現の自由を支持しているというのとは別のところで、実は日本という国が先進国の中でおそらく最も人権意識が低い国であり、多くのグレーゾーンによって支えられているということを浮き彫りにしているのだと考えます。文化的背景はもちろんあるでしょう、しかし日本はまず自分たちが他の先進国と多くの点で違っているということを認識しなければなりません。。。

海外では未成年が閲覧してはいけないようなコンテンツが日本では平気で閲覧できます。海外ではセクハラにあたるような写真が電車の中や雑誌の表紙などいたるところで目につき、それはもちろん未成年が日常的に目にする光景となっています。よく「日本の常識は世界の非常識」というコトバを耳にしますが、これには頷ける部分も多いわけです。どちらがいいとか、悪いとかいう話をするつもりもないですが、それ以前に日本としてのスタンスを決めていかねばなりません。私は電子出版に限らず「開国論者」ですが、それはやみくもにでていけばいいという訳でもなく、市場を開放すればいいと思っている訳でもありません。「鎖国」か「開国」かを迫られた際に日本にはもはや「開国」の道しかないと考えている上での「開国」であり、それには痛みが伴います。日本人も変わらなければなりません。

あるいは鎖国でもいいわけです。例えば電子出版ならコンテンツを一切こちらからは海外に出さずに、海外の読者を日本のいわば「安全地帯」に誘導し、世界の他では閲覧できないようなコンテンツを日本だけで読ませることも一つの方策なわけです。ギャンブルを禁止しておきながらパチンコや競馬を容認したり、酒やタバコに対象年齢を決めておきながら社会全体でそれを黙認したりするようなダブルスタンダードは日本にとっては武器であり弱点です。風俗産業なども同様です。鎖国を推し進めようとすれば、昔の長崎の出島のように出入するところを限定した上で、クールであちこちに「文化的無法地帯」がある日本にお客さんを誘導すればいいわけで、差し詰め今の日本ではこの出島は東京が該当するのだと思います。世界中で窮屈な思いをしている人たちが気兼ねなく「自由な」コンテンツを満喫できる場所として日本をパラダイスのように思って訪ねてくるかも知れません。しかし、そのためには日本を英語なり中国語なりで発信していく必要があり、それは世界にとってまだまだ「未知な国」日本をどんどん透明化していくことにもなります。

経済大国の座から遠ざかりつつある日本。過去21年間のうち小泉首相を除けば16年の間に13人の首相交代劇が繰り返されたという日本は、ヘタをすると世界の第三諸国よりもよほど「政情が不安定な国」と映っているのかも知れません。書き手が読み手とつながらなければ、自分の作品の評価を正しく理解できないのと同様に、日本は今回電子出版とソーシャルメディアという媒体を通じていよいよ「世界の壁」と向かい合っているのかも知れません。この点でアマゾンやアップルなどの米国勢を「黒船」と呼ぶのは本当に相応しい表現だと思います。(続く)

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