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電子出版の歴史 DTPが電子出版の草分けだった
コンセプトの壁

EBook2.0Forumという電子出版に特化した情報ポータルがある。このサイトを運営しているのは鎌田博樹氏であるが、彼はもともとソフトウェアエンジニアであったそうだ。もともと筆者が電子出版に関して日本の市場での関心度を探るためにオンラインリサーチをしている際に何度か出くわしていたのだが、昨年の暮れに友人で私のビジネスにおけるメンターでもある吉田宣也氏(ウイルスバスターで有名な日本トレンドマイクロの創業者で、元SBI投資顧問。現在はMIT日本エンタープライズフォーラムの理事を努めるかたわらエンジェル活動に従事されている)からサイトを改めて紹介頂き提携の可能性を提案された。改めて内容を読んでみると、鎌田氏の見識が非常に深くエンジニアとしての専門家的な見地が明確なことに感銘を受け、筆者のほうからコンタクトさせて頂いた。

最初に東京でお会いして歓談が実現したのは2009年12月のことだった。折しもKindleの国際版によって日本でも電子出版の熱が高まり始めてきた時期であった。その際に知ったのだが、鎌田氏は自身でも数作の著作を出されながら、電子出版の行方を長く見守ってきたいた方で実は日本における電子出版の波は1980年代後半から1990年代に一度来ていたのだという。これがDTP (DesktopPublishing) の波だった。確かに電子出版というと何だか新しいもののように思われがちだが、実は情報が掲載された記事なり書籍を電子版に落とし込むという作業はすでに編集などの作業で行われてきたことであり、Adobe社の規格であり今や使用しているコンピュータのOSを問わず、世界的に通じるフォーマットの一つであるPDFというフォーマットなどはそれを紙に印刷するのが主眼となっているから軽視されがちなだけで、実際は電子出版といってもいい。今回の波が大きな反響を呼んでいる理由の最たるものはインターネットという万能インフラの世界的普及であり、これを通じた画期的な「垂直統合型」プラットフォームというビジネスモデルを実現してきたアマゾンやそれに先駆けて音楽や映像業界で成功を収めてきたアップルという米国の「黒船」の存在であったのは言うまでもない。

後ほど理想の電子ブックリーダーを提唱する際にも触れるのだが、このようにコンセプトというのは重要なもので、電子出版とか電子ブックリーダーという聞き慣れない単語を前にするとどうしても尻込みしてしまうような場合にも、実はすでに日常生活で慣れ親しんでいるものの別名称であると考えたら急に重い心理的なとっかかりが無くなって、構えずに向かい合えるようになるということは多い。ここでの教訓とは一歩下がって全体を俯瞰(これはの心に通じるものがあると思うが)してみることの重要さだが、これらを理解することはまた電子出版がこれからもたらすであろうクラウド印刷(あるいはオンデマンド印刷)といった領域にも通じることだと思うし、フォーマットの世界で実はHTMLに精通しているウェブデザイナーが作業には向いているということや、編集者の力が電子出版市場では力を失うばかりか逆に復権してしまうことも有り得るというような柔軟な発想につながるのである。初対面で意気投合した我々は、日本において、今度こそ電子出版を普及させるために共闘をすることを誓い、ポータル上や後に筆者が運営することになる電子出版SNS などを通じてお互いに支援していくような関係となったのは自然な流れであった。

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