Tumblrのページビューは驚異的―Wikipediaを抜いた $85Mを調達 (TC)

テッククランチの新CEO Eric Schonfeld の投稿はシンプルだけどもインパクトがある。
Tumblrのページビューは驚異的―Wikipediaを抜いた(2011年9月27日)

まさに「ジワジワ来るTumblr」である(笑)簡易ブログのTumblrはスキンのオプションが多彩で、有料版は高機能。見た目だけでなく機能面にも違いが如実にでるGUIは画期的である。そして何より使いやすい「緩さ」がポイントである。iPhoneからでも簡単にアクセスでき、その簡易性はワードプレスをはるかにしのぐ。日本ではツイートをまとめて電子新聞化するサービスPaper.liも最近流行っているようだが、Tumblrは誰でも簡単にコメントできて共有できるソーシャルな「ブログかわら版」という感じ。

モバイル対応も進んでいるTumblr

スマホからの利用も多いTumblr

今日(米国時間9/26)われわれはTumblrがSequoia Capitalやリチャード・ブランソンらから$85M(8500万ドル)の資金調達に成功したことを伝えた。Tumblrのページビューの数字を見ればこの巨額の出資も決して驚きではないと分かるだろう。

訪問者数に比べてもTumblrのページビューは桁外れだ。実際、Tumblrは訪問者数では10倍もあるWikipediaを月間PVでは抜いている(comScore調べ)。Tumblrはユーザー同士が頻繁にお互いのページを見るようデザインされているからだ。投資家のBijan Sabetは「TumblrではログインしたユーザーによるPVが大半を占める」とコメントしている。

Sequioa は言わずと知れたVCの大手、リチャード・ブランソンはビジネスで革命を起こし続けているヴァージングループの総裁である。
(ヴァージンはソーシャルに力を入れているが、これはトラディショナルメディアや大企業全般に言えることだ もはやソーシャルはネット上の大前提である)

筆者が意力ブログを開始したのは2009年だが、当初はビジネスを宣伝する意味で立ち上げられたものだったので、エントリーの頻度もそれほどではなかった。(当時は新しいビジネスを模索するので手一杯だったのだ)しかし、とあるきっかけでソーシャルメディアそのものに対して本格的に注力をすることを意識し始めたのが2009年の秋頃で、その原因となったのはTumblr だった。(ちなみに英語ブログはTumblrを使っている。こちらはまだ自身のニッチをうまくつかめていないので試験的な運用というレベルだが)

簡易ブログでマスを取り込みやすいTumblrと、百科事典を標榜しておりどちらかというと執筆の敷居の高いウィキペディアを閲覧者数で比較するのは少し強引な気もするが、コミュニティ規模という点では一つの目安になることも事実。

Tumblrが生成するPVの規模がいかに桁外れか、もう少し詳しくcomScoreの数字を検討してみよう。この8月、Tumblrはユニーク訪問者ランキングでトップ100サイト入りを果たした(4100万人、99位)。しかし8月のPVでみると、65億で21位だ。これに対して、Wikimedia
Foundationのサイト(Wikipedia.orgなどを含む)は月間ユニーク訪問者、4億2300万で 56億PVを生成している。

ページビューに関する限り、TumblrはTwitter.comより大きく(もちろんユニーク訪問者数は少ない)、AOLやCraigslistの半分程度だ。下にComScoreのトップ100サイトの抜粋を掲げておいた。

1. Facebook (503B PV/月)
2. Google (272B PV/月)
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13. Craigslist (12.5B PV/月)
14. AOL (12.4B PV/月)
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21. Tumblr (6.5B PV/月)
22. Wikimedia Foundation Sites (5.6B PV/月)
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28. CBS Interactive (4.1B PV/月)
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32. Twitter (3.4B PV/月)
33. ESPN (3.3B PV/月)

1位のFacebookがダントツなのは分かるとして、CraigslistやAOLが依然上位なのは意外。日本ではCraigslistに該当するサイトがないのだが、これはやはりネットの文化はリアルの文化を色濃く反映することの表れだろう。もちろん、日本でやると出会い系サイトやネタ系のブログがかなりのアクセスを占めるはず。

しかし、$85Mとは何とも大きな金額だ。世界経済は不況のまっただ中だというのに、ソーシャルメディアでの勝ち組はどんどん評価を高めているようだ、というか、不況だけにそうなっているというべきか。

*それにしてもErickのエントリーにギークらしさがまったく感じられないのは私だけだろうか。。。何か普通の新聞記事みたいだ(苦笑)

立入 勝義 (Katsuyoshi Tachiiri) 作家・コンサルタント・経営者 株式会社ウエスタンアベニュー代表 一般社団法人 日本大富豪連盟 代表理事 特定非営利活動法人 e場所 理事 日米二重生活。4女の父。在米歴20年以上。 主な著書に「ADHDでよかった」(新潮新書)、「Uber革命の真実」「ソーシャルメディア革命」(ともにDiscover21)など計六冊を上梓。